- 2024年8月9日
- 2024年8月26日
ばね指
「指がかくかく引っかかる」
「動かすと痛い」
「固まって指が全然動かない」
動かすたびに指の痛みがあるとストレスですよね。
その症状『ばね指』かもしれません。
ばね指とは
手の指を曲げる腱(屈筋腱)は、腱鞘というトンネルの中を通ります。
腱鞘は5つあり、これをプーリー(Pulley)といいます。
腱鞘は、腱が浮き上がらないように安定し、力を効率よく伝えるための働きを持っています。
屈筋腱が腱鞘という滑車の中を移動することで、自由に指の曲げ伸ばしを行うことができます。
しかし、手の使い過ぎなどで腱鞘に炎症が起こることがあります。これを腱鞘炎と言います。
炎症で腫れてしまった腱鞘で腱がひっかりと、手がなめらかに動かなくなったり、手の痛みがでます。
これをばね指といいいます。
炎症が強く、腱鞘のはれがひどくなると、曲がった指をまっすぐにしようとしたときに指がばねのように跳ねることもあります。
ばね指の症状
ばね指の代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 手のひら側の指の付け根の痛みや腫れがある
- 指の曲げ伸ばしが滑らかにできない
- 指の曲げ伸ばしの際に引っかかる感じがある
- 指のこわばり、動かしにくさを感じる
- 指が曲がったまま伸ばせない
- 曲がった指をまっすぐにしようとするとばねのように跳ねる(ばね現象)
上記のうちの症状が1つでも当てはまれば、「ばね指」の可能性があります。
ばね指は、どの指でも発症する可能性がありますが、特に、親指、中指、薬指に多く見られ、起床時に症状が強く、手を使っているうちに症状が改善するも特徴です。
ばね指の原因は?
ばね指の原因になるものとしては以下のようなものがあります。
- 指の使い過ぎ
- 家事
- ピアノやギターなど、指を酷使する楽器の演奏
- パソコンのキーボードやマウスの操作が多い仕事
- ゴルフ、テニスなどの手を使うスポーツ
- ホルモンバランスの変化
- 50歳前後になると、年齢ととも女性ホルモンの分泌が低下し手の症状が多くなります。
ばね指はどんな人に多い?
以下のような特徴のある方に多いといわれています。
- 更年期の女性
- 50歳前後の女性は、女性ホルモンの分泌が減少し、ばね指を発症するリスクが増加します。
- 妊娠出産前後の女性
- 妊娠中や産後の女性も、ホルモンバランスが不安定になりやすく、これにより一時的に更年期に似た状態になることがあるため、ばね指のリスクが高まることがあります。
- 手をよく使う方
- 腱や腱鞘に対して強い負荷がかかるため、炎症が発生しやすくなります。
- 糖尿病や透析をしている方
- 末梢血行の不良により、ばね指が発症しやすくなります。加えて、一度炎症が生じると回復が難しくなるため、重症化することも少なくありません。
稀ですが乳幼児(親指)も起こることがあり「強剛母指」と言われます。
お子様がいる方は親指がしっかり伸びているか一度チェックしてみてくださいね!
ばね指の診断/検査方法
基本的に診断にあたってレントゲンやMRIなどは必要ありませんが、他の病気を疑う時などは適宜検査を追加をします。
以下のような特徴から診断します。
- A1pulley(第三関節のやや手前)に痛みがある。
- 指を動かしたときに指の付け根にしこりがふれる
- 指がまがったままうごかせなくなる(ロッキング)
また、超音波検査(エコー検査)は、炎症があり腫れた腱鞘を確認したり、腱の滑りを確認することが手軽にできるので有用です。
ばね指の治療方法
- 安静
- 手の使いすぎによる炎症を抑えます。ただし、仕事や家事などで安静を保つことが難しい場合も多いです。
- リハビリ
- 超音波や電気、理学療法士や作業療法士によるストレッチを行います。即効性は期待できませんが、再発予防や慢性化の防止に効果があります。
- 腱鞘内ステロイド注射
- 炎症を強力に抑える効果のあるステロイドを腱鞘の内側に注射で注入します。キシロカインなどの鎮痛薬を加えることですぐに痛みを取ることができます。ステロイドの副作用で腱が切れる場合があるので、頻繁な注射や複数回の注射は勧められません。
- 腱鞘切開術
- 炎症があり、肥厚している腱鞘を切る手術を行います。手術方法はさまざまですが、皮膚を切って2㎝ほど切って、神経や血管を確認しながら直視で行う手術が一般的です。一か所につき15-30分程度で終了します。
✅注射で何度も再発する場合 や
✅指が伸ばせなくなった場合
などでは手術が勧められます
まとめ
ばね指、は初期のうちは軽い痛みや違和感だけで、安静だけで回復することが多いですが、症状が進行すると、次第に強い痛みやばね現象、重症になると、指が全く動かなくなることもあります。
普段は無意識に手を使っていますが、炎症が発生し、痛みなどの症状が現れると、「掴む」「握る」「物を持ち上げる」といった基本的な動作が困難になり、仕事や家事に大きな影響を及ぼすことになります。
症状が改善しない時や、悪化するような場合には、早めに整形外科を受診するようにしましょう