- 2024年8月20日
- 2024年8月26日
つち指(マレットフィンガー)
つき指なら聞いたことがあるけど「つち指」って何❓
注意しないといけない突き指の種類は❓
ただのつき指と放っておかれたもの5-20%に、骨折/脱臼/靭帯損傷など、治療が必要なものが隠れていることはご存じですか?
今回はその中の「槌(つち)指」について解説します
つち指とは
突き指で放っておけない状態の一つに槌指(つちゆび)があります。
別名 マレットフィンガー(mallet finger)とも言われ、手指の第一関節をのばすところ(伸筋腱付着部)の損傷で、指の第一関節が伸ばしきれなくなるという特徴があります。
つち指と呼ばれるものの中に、Hammer toe(ハンマートゥ)と呼ばれる足の指の変形もありますが、Mallet finger(マレットフィンガー)とは違う原因、状態です。
つち指の症状
つち指の代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 第一関節周辺が腫れや痛み、内出血が起きる
- 第1関節が曲がったままになり、最後まで伸ばすことができない
ただし以下のことはできることが多いです。
- 他の力で指を伸ばすのを手伝うと、伸ばせる(他動伸展は可能)
- 第一、第二関節ともに自分の力で曲げることはできる(自動屈曲は可能)
- 第一関節も最後の20-30度程度までは伸びる(指を伸ばしきることだけができない)
上記のような症状が当てはまれば、つち指の可能性が高いです。
つち指の受傷原因は?
マレットフィンガーの原因になるものとしては以下のようなものがあります。
- 指をひっかけるなどの軽い打撲
- バレーやバスケットなどの球技スポーツ
- 刃物などによる、直接的な腱の切断
指を伸ばす腱(伸筋腱)の先端は、Terminal tendon(終末腱)といわれ、非常に薄く弱いので比較的弱い力でも切れてしますことがあります。
つち指の分類
槌指(マレットフィンガー)は主に二種類に分類されます。①腱自体が切れる腱性槌指(腱性マレット)と②腱がついている骨が折れる骨性槌指(骨性マレット)があります。それぞれ同じような症状がでますが、治療方針がことなる場合があるので分類されます。
①腱性槌指(腱性マレット)
②骨性槌指(骨性マレット)
手術が必要かどうか治療方法が変わるので、レントゲン検査で骨折がないか確認することが重要です。
つち指の治療方法
マレットフィンガーの治療には、保存療法と手術療法があります。症例の重症度や患者さんの状況に応じて治療法を選択します。
- 保存加療 腱性マレットや骨性マレットの一部(骨折片が小さい場合など)に対して行う治療法です。
- 固定 指をまっすぐな状態に保持するスプリント装具などを使い固定します。スプリント装具は通常6〜8週間、24時間装着が必要です。3か月程度まで夜間のみ装具の装着が必要な場合もあります。指をまっすぐな状態で固定することで、腱の断端を近い距離で保ち、良い位置で腱の修復されるのを待ちます。
- リハビリ マレットフィンガーでは治療に長期の固定が必要になります。一方、長期間固定をすると関節が硬くなってしまいます。理学療法士や作業療法士により、長期の固定で硬くなってしまった関節を動かすことで、もともとの関節の動き(可動域)をとりもどします。
- 鎮痛剤の内服 痛みを抑えるためにNSAID(ロキソニンなど)を用います。
- 手術加療 保存加療では変形や痛みが残る可能性があると判断される場合に手術加療を行います。具体的には以下のような特徴のある、骨性マレットに対し行われます。
- 手術が必要なマレットフィンガーの特徴
- 末節骨が掌側に亜脱臼している
- 関節面の1/3以上の大きな骨片がある
- 手術が必要なマレットフィンガーの特徴
他にも総合的に判断されて手術適応になることもあります。
つち指の手術方法
マレットフィンガーの手術治療にはいくつかの方法があります。
- 経皮的鋼線刺入術 現在ある手術方法の中で最も一般的な方法で、骨折や亜脱臼が存在する場合に、骨片を元の位置に戻した状態で骨や骨折部をピンで固定する方法です。皮膚から直接ピンを刺すので、手術後の傷は目立ちません。基本的にピンを抜くまでは、ピンが皮膚から外に出ている状態なので、感染に注意が必要です。ピンは手術後6〜8週間程度留置します。代表的な手術方法に石黒法があります。
ピンでとめる固定方法が一般的ですが、指先の厚さ数ミリの骨に適切ない位置にピンを入れるのは、思っている以上に難しいんです、、
- 観血的整復固定術 陳旧性(けがをしてから時間が経っている場合)の骨折で、骨折部分の新鮮化を行わないとならない場合や、ピンだけでは良い位置で固定できず、プレートを設置して固定が必要な場合の手術方法になります。実際に皮膚を切り骨折部分を確認して手術を行います。
- 腱縫合術 断裂した伸筋腱を縫い合わせることで、指先の伸展機能を回復させる手術です。切れた腱を縫うことから、最も合理的な治療方法のように思われますが、つち指で損傷する伸筋腱のTerminal tendon(終末腱)は非常に薄く、腱同士を縫い合わせることが非常に困難であるため、一般的ではありません。
- 関節固定術 ケガをしてから時間が経過し変形してしまっている場合に、痛みを取る目的で関節を固定する方法です。他の治療法で対応できない場合に用いられます。関節が動かなくなるというデメリットがあります。
まとめ
マレットフィンガーは、指先の伸筋腱が損傷し、指の末節が伸ばせなくなる状態です。外傷やスポーツ中の事故が主な原因で、適切な治療が行われれば、多くの場合は回復しますが、重症例では手術が必要になることもあります。
突き指だとおもって放っておくと変形や痛みが残ってしまいます。突き指だと油断せずに、早めに整形外科を受診するようにしましょう